外国人力士に見習う語学習得【本気度の違い】
今日はバレンタインデーですね。
素敵なひとときをお過ごしのことかと思います。
さて、英語学習をこれから始めるに当たっては「本能で覚えること」が大切だと僕は何度も繰り返してきました。そしてその例として帰国子女のことなどについて挙げました。今回は逆に日本語を生存本能として学ぶ外国人の例として、外国人力士のことを書こうと思います。外国人力士の日本語ってものすごく上手いですよね。訛りも殆ど無いですし、とにかく流ちょうですよね。そんな彼らがいかにしてここまでの日本語力を習得したのか、これは英語をこれから学ぶ日本人にとっても大いに見習うべきことが多いのです。
■もくじ
1.外国人力士が日本語を覚える背景とは?
1-1.若干15歳の少年が異国の地へ【極限状態】
1-2.厳しいしきたりと張り詰めた緊張感
1-3.会話と聞き取りが優先で読み書きは二の次
2.力士の日本語習得法を英語習得に活かすこと
2-1.英語習得への強い危機感を持つ
2-2.英語学習は会話と聞き取りを優先させる
2-3.英語漬けの環境に身を置くこと
■まとめ
ちなみに、この記事を書いた僕は帰国子女でも無く留学経験も無い、底辺中高卒のただのロスジェネおやじです。そんな僕は英語偏差値38からTOEIC980点・英検1級に下克上を遂げました。
1.外国人力士が日本語を覚える背景とは?
まずは外国人力士がなぜ日本語を覚える必要があるのか、その背景について考えてみましょう。
日本のプロ野球選手やプロサッカー選手にも外国人は沢山いますよね。しかし彼らは日本語は殆ど話さないか、話してもカタコトですよね。それにひきかえ外国人力士は日本語を日本人並みに流ちょうに話します。
この本質とはいったい何か、そこに切り込んでみたいと思います。
1-1.若干15歳の少年が異国の地へ【極限状態】
外国人力士が初めて日本に来る年齢は大体が15~16歳、遅くとも20歳前には来日して相撲部屋に入門します。年齢的には正直まだまだ少年と言っても良い位です。
そんないたいけな少年が何も知らない異国の地に一人で降りたった時の心中やいかに?どう思いますか?
そうです、極度の緊張状態ということです。言葉も全くわからず故郷から遠く離れた日本、しかも故郷とは比べ物にならない位の沢山の人、車、それらは素朴な少年にとっては恐怖ですらあります。しかも食べ物は故郷の味とはまるで違うものばかりで、中には腐った大豆なんてものまで有ります。残すと親方や兄弟子に叱られるので息を止めて目をつぶりながら胃の中に掻き込みます。
つい先週は故郷の自分の家の自分の部屋でぬくぬくと暮らして、お母さんの美味しい料理を食べていたのに、それが一転してしまったのです。このとてつもなく大きな環境の変化が15歳くらいの少年の心にどれだけの影響を及ぼすのか、それは言うまでも無いと思います。
1-2.厳しいしきたりと張り詰めた緊張感
それでも自分は相撲で上り詰め、沢山稼いで故郷の良心に楽をさせてあげるんだという強いモチベーションが彼らには有ります。強くなって上位を目指して、できれば頂点である横綱になりたいという夢をもっています。
しかし、そのためにはとても厳しい稽古に耐え、稽古以外の場でも日本の相撲界の厳しいしきたりを守らなければなりません。
少しでもそれを間違えると、親方や兄弟子や厳しいお咎めを受けます。稽古では自分の体力の限界以上の事を毎日しなければなりません。立ち上がれなくても立ち上がらなければなりません。痛くても痛がっている暇なんてありません。相撲道の厳しさを全身で受け止めながら、上を目指してひたすら本能のままにぶつかっていくのです。
それは土俵の外でも同じことです。毎日の生活の中で、一瞬たりとも気を抜くことは許されません。少しでも気を抜くと、その途端に失敗をしでかしてしまい大目玉を喰らってしまいます。寝ている間すらも完全に緊張感がぬぐい切れないような世界で若い外国人力士達は暮らしているのです。
1-3.会話と聞き取りが優先で読み書きは二の次
このような極限状態の中で、周囲の言っていることがわからない、自分の言いたいことを表現できないのは致命的です。ですので、若い外国人力士はまず日本語を死に物狂いで覚えようとします。
当然そのことを親方や兄弟子や同期生などの周囲の日本人は知っているわけです。それゆえにあえて日本語が必要な仕事を多く与えます。電話番もそうですし、買い物もそうです。稽古の最中には親方が日本語で指導を行います。
「上手をもっと早く引け!」と最初から日本語で言われます。当然来日したばかりの若き外国人力士には何を言っているのかはわかりません。しかし必死に理解しようとします。親方の身振り手振りや、今の取り組みとは違う方法で取ってみてそれで頷いてもらえるかなど、とにかく自分の五感を駆使して日本語を理解しようとするのです。
このような日常の中で日本語を早急に学ぶとしたら、まずは何よりも会話力と聴解力を優先することになります。生身の人間同士のやり取りの中での真剣勝負、その世界では生の声と音を理解することから始まるのです。僕はこれこそが言葉の本質ではないかと強く思うのです。
ちなみに、外国人力士の日本語習得プロセスの詳細については、「外国人力士はなぜ日本語がうまいのか」(宮崎里司・著)をぜひご一読ください。
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2.外国人力士の日本語習得法を英語習得に活かすこと
では、この気迫溢れる外国人力士の日本語習得過程を我々日本人の英語習得に活かすことができるのでしょうか?
僕は敢えて言いますが、これ位の強いモチベーションが無ければしっかりと英語を習得することは不可能です。もちろん趣味程度の英会話をという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、人生のかかった局面、例えば会社の昇進や高校入試や大学入試や就職で英語力が今後ますます問われてくる日本において、外国人力士の日本語習得への執念は絶対に見習うべきですし、さもなければ大した英語力は取得できません。
2-1.英語習得への強い危機感を持つ
外国人力士と同じレベルの外国語習得へのモチベーション、それを日本人が英語学習を始める際にどうやって持つのでしょうか。
これは前回の内容とも重複しますが、子供であれば教師や親がその価値と意味について本人の本能で理解させることが必要です。大人であれば、それを極限まで自問自答して自分の本能として必要であると納得し、強烈なモチベーションへと昇華させることが先決です。
よくあるいいわけ(excuse)としては、学生の受験の場合は「英語が苦手でも他の科目で稼げばいいわ!」とか、会社員であれば「どうせ英語が出来なくて昇進できなくてもそこまで給料変わらないし。」といったことが考えられます。
しかし、それはとても危険な判断です。これからの日本では急激に英語力というものが社会のなかで問われていくのです。悠長に構えていると置いていかれて、気づいたら今想像しているよりも遥かに状況が悪くなってしまう可能性が高いのです。
入試に関しては英語が一定レベルに達しないと他の科目の採点すら行ってもらえなかったり、会社員であれば社内公用語が英語になって同僚の半部以上が外国籍の人で仕事のならなくなってしまうという未来です。
そのようなことが現実に起きようとしていることを考えて、英語習得について外国人力士並みの強い危機感を持つようにしてください。
2-2.英語学習は会話と聞き取りを優先させる
そして、これでも外国人力士と同じく、英語学習をするにあたっては会話力と聞き取り力の2点に集中して進めてください。
こちらの受験英語のページにも書きましたが、従来の日本における最大の過ちは読み書きに偏重した英語教育であったということです。教科書や黒板に書かれたアルファベットとひたすら書き写すような英語なんてコミュニケーション方法として何の役にも立ちません。それは日本人には英語がほぼ伝わらないという全世界の認識からも明らかです。
ですので、まず日本人のあなたが英語を習得しようとするのであれば、何よりも会話力と聞き取り力に集中することが肝心です。
外国人力士が己の生存本能と闘争本能の中で日本語を覚えるように、日本人のあなたも己の本能として口から出る英語と耳から入る英語について集中するということがキーポイントです。そうすると、みるみるうちに英語があなたの全身に染みわたってきますよ。
2-3.英語漬けの環境に身を置くこと
できれば外国人力士のように、寝ても覚めても日本語だらけという状態が一番利用的なのですが、日本に住んでいる日本人にとってはなかなかそうもいきません。
ですので、可能な限り自分を英語と関わる環境に置くということをおすすめします。もし2週間くらいのまとまった休暇がとれるのであれば、超短期語学留学ツアーに参加するのも良いですよ。現地のホストファミリーと集中的に2週間生活することで、それだけでもあなたの英語力はかなり上昇することでしょう。生活とは生きることですから、その人間の本能に根差した英語学習は教科書や参考書とは比べ物にならない位の効果が期待できるんです。
そのほかには、通勤通学時間に極簡単な英語の読み聞かせ音声や、知っている洋楽をヘッドホン越しに聞くこともおすすめです。
ここで大切なのが、自分に合ったレベルの内容であるということです。あまりにも自分の英語力とかけ離れたハイレベルな音声を聞いても、それはあなたにとっては雑音でしか無いので効果は全くありません。その点だけはぜひ気を付けてください。
■まとめ
外国人力士の恐るべき日本語能力の高さ、その背景には彼らの命がけのモチベーションが有るのです。この強烈なモチベーションをもって、かれらは本能に根差したかたちで日本語を習得しているのです。
これを英語を習得しようとする日本人も見習って、言語の本質ともいえる会話の力と聞き取る力にまずは集中して学習を進めることが肝心です。そのためにはなるべく英語漬けとなる環境を自ら作り出すことが必要となります。
ただし、自分の英語力に見合った環境を設定しないとそれは意味の無いことになってしまうので注意が必要です。